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会社設立前後に必要な手続きを(ほぼ)全部電子申請するためのガイド

先日会社を設立したのですが、何となくできる限り電子申請でやってみたいなという気持ちになったのでやりました。

これはその記録というか、全てを電子申請する中で困ったことも少なからずあったので、今後同じような手続きをする人がなるべく楽に完遂できれば良いなという気持ちで記しました。

一応の前置きですが、僕は司法書士などその手の専門家でもないし、法律に明るい訳でも無いので、基本的にここに記載の内容はあくまで参考程度に見てもらえると助かります。

また、この記事は僕が諸々の手続きを行った2021年6月前後での内容なので、きっと色々と変わっている点もあると思います。

はじめに

各フローで必要な書類は自分で調べながら作成するなり、専門家に依頼するなどして準備します。

具体的には定款や登記関連書類(発起人の同意書、払込みを証する書面、就任承諾書など)などを指していて、この書き方については案内しません(できません)。

会社設立freeeなどを使うとお安く簡単に作れるかもしれないですね。

電子申請は基本的に法人設立ワンストップサービス(以下、法人設立OSS)を使い倒します。

代替手段というか、法人設立OSSで色んな手続きが申請できるようになる前は申請用総合ソフトなるものを使っていたような雰囲気があります。今も現役かもしれない。

ただし、こちらはWindowsしか対応していないのでmacOSの利用者は必然的に使えないのと、普通に使いづらいので特別な事情が無い限り法人設立OSSを使用した方が良いかと思います。

また、この法人設立OSSとPDFの電子署名で使うのでマイナンバーカードとICカードリーダーは必須です。

あとはまとまったお金。資本金に関わらず20万円くらいは必要ですね。

PDFの電子署名

PDFを電子署名するタイミングは何度も出てくるので最初に書いておきます。

通常は登記・供託オンライン申請システムが提供しているPDF署名プラグインを使用する方法が一般的かと思います。

ただ、このPDF署名プラグインも申請用総合ソフトと同じくWindowsでしか使用できないのと、有料のPDF編集ソフトであるAdobe Acrobat DCを使う必要があるようなので出来れば避けたいです。

……のですが、PDF署名プラグインを使用せずに電子署名する方法については、自分もまだ詳しく検証はしていないのと、そこについて書くほどの元気と理解が無いので割愛します。

一応、無料のAdobe Acrobat Reader DCとOpenSCを使って実現できると思うので余力のある方はチャレンジしてみると良いと思います。以下の記事が参考になりました。

よくわかんね、という方はWindowsがインストールされたPCを適当に見繕うのが手っ取り早いです。高性能である必要は全くないので数万円で手に入ると思います。

さらに、電子署名の件とは別に、後々登場するe-Gov電子申請の一部社会保険関連の手続きもmacOSに対応していなく、この段階でWindows機がないと結局外出イベントが発生します。(そのうち対応されるかも?)

実は、他にも一部手続きで外出イベントが発生するのですが、それはWindowsに関係なく電子申請に対応していない手続きなので我慢しましょう。

定款認証

会社設立関連の手続きで最初に行うのは定款認証であることが多いと思います。

定款認証は事前に公証人なる方と連絡を取る必要があります。

最寄りの公証役場に連絡して、定款と実質的支配者となるべき者の申告書を公証人に確認してもらいます。

このとき、オンラインによる定款認証及び設立登記の同時申請を行う旨を伝えます。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00088.html

というのも、オンラインによる定款認証及び設立登記の同時申請を行う場合のみ、法人設立OSSから電子定款認証の手続きが行えるのが理由です。通常、電子定款認証は申請用総合ソフトを使用する必要があります。これは罠です。

そして、この同時申請は、定款認証当日に法人設立OSSにて申請開始する必要があります。

具体的な手続き名は「電磁的記録の認証の嘱託(定款認証)」と「設立登記の申請 ※株式会社の定款認証同時申請用」の2つ。場合によっては「電子署名付委任状の申請」も必要でしょう。

また、同時申請の場合でもそうでなくても、法人設立OSSの「かんたん問診」で必要とされた手続きを一気に進めない方が良いです。(何の手続きをする必要があるのか知る意味ではとても有用)

入力項目があまりにも膨大なのでおそらく1日では終わらないのと、そもそも法人設立前では知り得ない情報の入力を求められるフィールドがあったと思います。まずは定款認証と登記、この2つのみで進めるのが良いと思われます。

余談ですが、同時申請に使用されるビデオ通話方式の定款認証だと認証された電子定款を保存するためのUSBやCD-Rが不要になるので若干お得です。いや、念のため外部のストレージに保存しておいた方が安全な気がしなくもなくもなくも……

さて、この場合では認証された定款は法人設立OSSからダウンロードすることになります。

登記

つづいては登記です。

前節の通り、この手続きは定款認証と同時申請することになりますが、事前に登記関係書類を用意しておく必要があります。

以下のページで手続きの流れや添付書類についても書かれているので、目を通して必要なものを把握すると良いかと思います。一人会社じゃない場合も大幅に内容が異なる訳ではないと思いますが、そこら辺は僕には分かりません。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00117.html

とはいえ、日を跨いでしまっても24時間以内に登記が完了しないだけで特に問題はないですし(なるべく早くやるべきだとは思いますが)、以下ページに記載のように24時間以内処理はいくつかの条件があるので中々厳しいのではないでしょうか。特に「補正がないこと」という条件が厳しそう。

よく分からないことだらけではありますが、焦らず着実に進めると良いと思います。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00088.html

印鑑を廃する流れが強まっている昨今ですが、全く不要になるかと言われると分からないので、僕は念のため印鑑も提出しました。

ただ、これが少し手間取った記憶があって……原寸大になるようにPDFを印刷して、印鑑押して、読み取って再度PDF化して、アップロード……みたいな面倒フローがあります。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00072.html

以降は少し特殊な備忘録ですが、僕の場合は特定創業支援事業の特典で登録免許税が安くなるので、それについて法的根拠的なものを入力しました。

インターネッツを彷徨うと「租税特別措置法第80条第2項第1号」がそれにあたるのでは?と記している法務事務所のブログがあったのでその通りに入力して、問題なく登記完了しています。

各自治体の取り組みなので対象でない自治体もあると思いますが、上記のブログにも書いてあるように色々と特典があって嬉しいので特定創業支援事業はおすすめです。

ただ、登記時にこの特定創業支援事業を受けたことの証明書の原本とコピーを送付する必要があります。

この証明書は紙で発行されるため、PDFなどにして電子署名をしてもその正当性が証明できないのが理由だと思いますが、この時点で24時間以内登記は達成が不可能になりますね。

法人設立届, 給与支払事務所等の開設等届

それぞれ2ヶ月と1ヶ月という提出期限がありますが、法人設立後であれば特別なにか準備する必要もなく、法人設立OSSでサクッと済ませられるので早めにやっとくと良いと思います。

履歴事項全部証明書

法人口座の開設や融資、次節の社会保険関連の手続きなどで必要になるやつです。

ネットで発行申請的なのができますが、受取りは法務局に出向くか郵送してもらうしか無いのでちょっと面倒です。(事前申請という位置づけらしい)

ただ、印鑑カードなるものの交付申請は法務局に直接出向かないとできないので、このタイミングで諸々のタスクを法務局に出向いて一気に消化すると早そうです。

そういえば、印鑑の届出もこのタイミングで出来る気がするので、無理して登記時にオンラインで印鑑を提出しなくても良いような気がしなくもないですね。

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/online_syoumei_annai.html

社会保険関係

これがまじで最悪でした。

健康保険と厚生年金保険(以下、社会保険)の新規適用届と資格取得届と被扶養者届を提出する必要があるのですが、新規適用届だけ法人設立OSSにあるものの、その他2つはe-Gov電子申請でしか申請できません。

よく分からず新規適用届だけ法人設立OSSで申請したら案の定ハマりまして、年金機構の方と何度か電話でやり取りする羽目になりました。

上述の3つの手続きを全てe-Govでやればこのやり取りも不要だったのかなと思うのですが、このe-Govがかなり曲者でつらかったです。

まず、e-Gov電子申請でできる約3,000もの手続きのうち、この社会保険関係の手続きに関してはmacOSに対応しておらずエラーがでます。罠すぎる。

というより、そもそものe-Gov電子申請の使い勝手が悪すぎて本当に発狂しそうでした。

申請書の各項目の入力が非常にやりづらく、項目に気づきにくいわ項目の検証設定が分からないわでやる気が消え失せます。

どうにか気持ちを奮い立たせ入力を終え申請できたと思ったら、機械的に申請が処理されて、文字を全角にしろだの名字と名前の間にスペース開けろだの言われて、申請が却下されます。

この検証の仕組みが本当に理解できなくて何度も申請することになるのですが、毎回申請書を最初から入力することになります。

もう本当最悪すぎてモニターを破壊しそうになるので、ここに関しては年金事務所に出向いたほうが楽な可能性が高いです。

e-Gov電子申請を使った後だと法人設立OSSがめちゃくちゃ使いやすい最高のサービスに感じます。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請

本来毎月払う必要のある源泉所得税を半年スパンでまとめて払える特例を受けるための申請です。毎月の作業量を減らせるので、給与の支払いが10人未満であるならなるべく申請した方が良いかと思います。

申請は法人設立OSSで簡単にいけます。

ただし、この申請をする前にe-Taxで使う利用者番号の発行が必要です。それもOSSでできるので先に手続きを済ませておく必要があります。「電子申告・納税等開始(変更等)届出(税理士代理提出・法人開始用)」というやつですね。

いつやっても良い手続きではあるのですが、源泉徴収する月の前月末までにやらないとその月分の源泉所得税の支払いを行わないといけないので申請のタイミングは気をつけたほうが良いです。

青色申告書の承認の申請

個人事業主の感覚でいくと青色申告は特別控除を受けるためのものですが、法人はそういった控除はなく、欠損金の繰越しと少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例が受けられることがメリットとなります。

メリットの詳細を説明することはできませんが、基本的に申請しない理由があまり無いのでするべきかなと思います。

こちらも申請は法人設立OSSで簡単にいけます。

申請は法人設立から3ヶ月後まで猶予があるので諸々の手続きの中では余裕あります。とか言ってると忘れそう。

おわり

法人設立前後に必要な手続きは概ね記載したような気がしますが、なにか忘れてるかもしれないし、人を雇用する場合とかでもまた内容が違ったりもすると思うので、あまり信用しないでください。

何度も起業しているわけではないので実際どうかは分からないけども、オフラインでこれらの手続きを行うより個人的には楽だったんじゃないかなぁと思っています。というかそうであって欲しい。