マーケティングについて全くと言って良いほど知識が無いので、色々と調べていこう、というシリーズ。
サービスのグロースには必ずと言って良いほどマーケティング的な観点が必要になるはずなのだが、制作に集中しているとどうもそういう視点が失われていく。
集中すると物事を考えるための視野は狭まるが解像度は高い。反対に、少し離れた所から見ている人は視野が広く色んなことに気付きやすいが解像度は低い。これを1人で行うのは思っているより難しい。
ゆえに、仕事というものは色んな業種・役職の人と関わり合うことになるのだが、僕のいるスタートアップ業界だと目的ごとに人を雇う余裕もそんなにないし、ある程度は今いるメンバーでやり切ろうとする気概も必要だったりする。
というより、自分が知りたいから調べる。
デザイナーはプロダクトを取り巻く様々な環境に適応できると何かと便利、というかプロダクトへの理解度が大きく変わる気がする。
Strategy(戦略)やScope(要件)がElements of UXでUXに必要な要素として挙げられて10数年、デザインというものが表層のスタイリングだけでは無いということは周知の事実になりつつあるが、戦略や要件には直接関連が無いような知識もデザイナーに求められ始めている。
その一つとして、マーケティングというのはかなり受け入れやすい事柄なように思う。
マーケティングとは
本質的には、アピールしたい自社の商品の魅力や強みなどを把握し、それをターゲットに適した方法や環境でアプローチする。そして、その後は解析→仮説立て→計画→検証のような流れを繰り返していくのでは無いだろうか。
しかし、これはただの想像でしかないので取り敢えずググる。
マーケティング(英: marketing)とは、企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。 -Wikipedia
なるほど。
更に以下の文も引用する。
狭義のマーケティング マーケティング活動は、狭義には商品またはサービスを購入するポテンシャルのある顧客候補に対してブランディングやマーケティング・コミュニケーション等を通じて購買行動やサービス利用に働きかける行為である。また、さらなるコミュニケーション等によって顧客価値や期待を高め、再購入や顧客連鎖を促進する。マーケティングは企業活動の拡大再生産(あるいは維持)を図るための一連の行為のひとつであり、心理学、数学、社会学、経済学等様々な知識の上から成り立つ高度な理念、スキルとも言える。
狭義では、ある程度の想像のつく答えだ。
しかし、この狭義という言葉をあえて付けているところを見るに、デザインと同じように、全てをマーケティングと見做すことが出来るような観点もありそうだ。
それでは、つぎは実際にマーケティングではどのような手法を利用し購買行動を促進させるのかを調べていく。
STPアプローチ
手法についても全く知識がないので、まずはWikipediaに載っていた、STPアプローチというものについて確認していく。
セグメンテーション(segmentation、セグメント化)
市場における顧客のニーズごとにグループ化する、市場をセグメントする。様々な角度から市場調査し、ユーザ層、購買層といった形であぶり出し、明確化していく。簡単に言うと切り口という意味。マーケットセグメンテーションも参照。
以下のページで、セグメントの主な区分が挙げられていた。
少し紛らわしいが、セグメンテーションではターゲティングまでは含まれないようだ。
あくまで、売り込みたい商品を求める層の洗い出し。
ターゲティング(targeting、ターゲット選定)
セグメント化した結果、競争優位を得られる可能性が高い、自社の参入すべき市場セグメントを選定する。選定には、複数のセグメンテーション軸を組み合わせて行なうことが一般的である。その際には、ターゲットの経済的価値(市場規模、成長性)やニーズを分析することが重要である。
セグメンテーションによって洗い出された層の中で、どこなら優位性を持つことが出来るのか考え選定することがターゲティング。
ターゲットの経済的価値という言葉があるが、これは、このターゲットに狙いを定めることによってどんな効果が得られるのか?という観点なようだ。
ターゲティングは永続的に固定されるものではなく、プロダクトの成長を見越して選定されるものなのではなかろうか。
これは、初期段階であれば、如何にユーザーを定着させるか?如何にユーザー層を広げるか?というような視点である。
また、ニーズというよく聞く言葉もターゲティングの説明に含まれているが、ニーズには以下の2種類が含まれることを意識する。
顕在ニーズ 顧客が「これが欲しい」と具体的、明確に表現する需要。
潜在ニーズ 顧客がまだ気付いていない、または明確に表現できず、宣伝・商品を見て初めて「こんなものが欲しかった」と気付く需要。
これらのニーズを満たすものを**ウォンツ(Wants)**と言うらしい。
ポジショニング(positioning)
顧客に対するベネフィット(利益)を検討する。自らのポジションを確立する。そのためには、顧客のニーズを満たし、機能やコスト面での独自性が受け入れられるかがポイントとなる。
ニーズを満たすだけではなく、独自性についても触れているのが興味深い。
なぜ、独自性が受け入れられるかがポイントなのだろうか。
他にも競合がすでに存在している場合、他のプロダクトもニーズを満たしている可能性が高いからであろうか。または、先行者利益的に他のプロダクトの追従を防ぐためのものだろうか。
前者であれば、ここでいう独自性は詰まる所、潜在ニーズに当たるのではないか。
顕在ニーズを満たし、潜在ニーズを気付かせる。そんなプロダクトを作る事がポジショニングか。
STPそれぞれの定義を確認した。
STPにより、基本的な戦略の方向性が定まると次には4Pにより実際の各個別戦略が策定される。らしい。
マーケティングミックス
マーケティングミックスは、マーケティング戦略において、望ましい反応を市場から引き出すために、マーケティング・ツールを組み合わせることである。つまり、企業や非営利組織が顧客や生活者に商品やサービスの販売をしたり、何かを遂行したりするために、マーケティングの使用可能な複数の手段を組み合わせて戦略をたて、計画、実施すること。
マーケティング・ツールというと何だか自分の知らないなにかスゴいツールがあるのかと思うが、そういう意味ではなく……
製品計画、パッケージング、価格、ブランディング、流通経路、物的流通、人的販売の量と質、サービス
などのサービスを取り巻く様々な環境をツールと呼んでいるようだ。
そして、これらのツールを組み合わせてマーケティングを行うことを、マーケティングミックスという。
前節で出てきた4Pというのは、マーケティングミックスにおけるツールの頭文字を指している。それが、Product, Price, Promotion, Placeだ。日本語で言うと、製品、価格、宣伝、流通という感じ。
もう少し詳しく分類すると以下のようになる。
- Product(製品):製品、サービス、品質、デザイン、ブランド 等
- Price(価格):価格、割引、支払条件、信用取引等
- Promotion(プロモーション):広告宣伝、ダイレクトマーケティング 等
- Place(流通):チャネル、輸送、流通範囲、立地、品揃え、在庫 等
しかし、これは売り手側の視点で考えられている。そこで消費者側の視点で捉え直したフレームワークもあり、マーケティング 2.0と呼ばれているらしい。
それは4Cと分類される。
- Consumer(消費者のニーズやウォンツが商品)あるいはCustomer solution(顧客ソリューション)
- Customer cost(顧客コスト)
- Communication(コミュニケーション)
- Convenience(流通は利便性)
更に、消費者と企業、双方向なマーケティングとして、マーケティング 3.0と呼ばれる4Cもある……。
- Commodity
- Cost
- Communication
- Channel
コモディティは特色ある商品の「コモディティ化」と異なり、ラテン語の「Commodus(共に便利な)」から来た企業と企業、企業と消費者、人間と自然が共に生き、共に便利な人間の価値としての商品である。さらに企業(Corporation)、消費者(Consumer)、外部環境(Circumstances)を加えて(1979)「7Cs COMPASS MODEL」としている。外部環境に「Weather」を入れたのは世界のモデルにはない。ウェザー・マーケティングも包含している。また、消費者への考慮要件は皆重要であり、これも他のモデルに無い特色である。
しかし、このマーケティング3.0が提唱されたのは1972年。現代でも通用する概念は多そうだが、見直しも必要な気がする。
というか、実はもうマーケティング 8.0くらいまで来てるんじゃないか……。
今回はここらへんでおわり。