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ミニゲームアプリUIを制作するにあたってのメモ

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Cocoda!のスペシャルお題「友人や家族と遊べるミニゲームアプリをデザインしよう!」をやるためのメモだったのですが、なぜか提出期限を10月中だと勘違いしていて実際の提出日にはこのメモしか出来ていませんでした……残念。

何かの参考になればと思いヒッソリと公開。僕がUIを作るとき、最初はこんな感じの長〜い文章を書いて思考を整理することがあります。

提示要件の確認

  • 『友人や家族と遊べるミニゲームアプリ』のUI(画面遷移が分かる形)
  • UIをつくる際のプロセスや思考の背景をまとめたもの

制作の要件として求められているのは、「友人や家族と遊べるミニゲームアプリ」という一点だけではあるが、そもそもミニゲームとは何か?という定義を行わなければ、逆に制作が難しいお題であるように感じた。

「軽いゲーム」という意味でのミニゲームであれば、コンセプトなどを深く考えずに、純粋にユーザーが楽しめるようなゲームデザインを行ってもミニゲームとしては成立すると考えられるが、世の中のゲームを基準にミニゲームとは何かを一度定義しなければ、要件の曖昧さが際立ち優れたデザインを作るのが困難になってしまう可能性がある。

まず、一般的なテレビゲームを基準にすると、ミニゲームというものは凡そ2種類に分類されると考えた。それは、「寄り道型ミニゲーム」と「統合型ミニゲーム」である。

※この分類に対し一般的に使われている呼称があるかもしれないが、見つけることが出来なかったためここでは独自に命名した。

寄り道型ミニゲーム

イメージとしては、「ポケットモンスター」のゲームセンターや「ドラゴンクエスト」のカジノのようなもので、ゲームの進行には直接関係がない、息抜きや寄り道的な意味合いで実装されるゲームのことである。

これは、メインとなるゲームの世界観をある程度守る必要がある。メインゲームの時代が中世をモデルにしたものであれば、UFOキャッチャーなどの現代的なゲームはフィットしないかもしれない。

しかし、そう決めつけるのは早計である。Switchでリメイクされたのが記憶に新しい「ゼルダの伝説 夢をみる島」ではUFOキャッチーをモデルにしたミニゲームが登場する。メインゲームの時代感としてはおそらく合っていないのだが、違和感は感じない。

それはUFOキャッチャーというゲームの要素は、現代的な機械が必要なくても再現可能だからである。必要なのは「景品」と「景品を掴むもの」と「掴むものを操作するもの」の3つだ。これはアナログにでも再現することが出来るのだ。

……とはいうものの、「ゼルダの伝説 夢をみる島」でのUFOキャッチャーはかなり機械的だ。それでも世界観を壊していないと思うのは、このゲームの世界観がそもそも「夢」であるからなのかもしれない。違和感のない違和感のような感覚だ。

また、ゲーム内ミニゲームはあくまでメインゲームの進行の息抜きであることは忘れてはならない。このミニゲームによって、ストレスを与えるようなことだけは避けたい。

ミニゲームによってメインゲームの攻略に役立つようなアイテムや情報が与えられるのが望ましい形であろう。ここでいうミニゲームは、メインゲームのプレイを再燃させるようなゲームではないだろうか。

統合型ミニゲーム

こちらは、「マリオパーティ」が最もわかり易い例であろう。他には「Wii Sports」などが挙げられる。

こちらの分類は、ミニゲームを1つのゲームとして統合させることによって作られたゲームのことを言う。

統合型ミニゲームは寄り道型に比べ自由度が高い。ミニゲームがメインゲームであるため、純粋にプレイしていて楽しいミニゲームであるほど良いと考えられる。

寄り道型に比べ世界観的なコンセプトを遵守する必要性は弱いと考えられるが、「Wii Sports」のようにスポーツというコンセプトを決め、それに準じたミニゲームを統合するのは良いアイデアだと感じる。

スマートフォンアプリにおけるミニゲーム

以上、2種類のミニゲームを確認したが、スマートフォンにおいては少し様相が違う。

スマートフォンアプリのストアに並ぶゲームは、そもそもメインゲームがミニゲームほどの機能しか持たないゲームが多く、上記の2分類からは逸れる。

いわば、「単一型ミニゲーム」のようなものである。

しかし、これはスマートフォンアプリの概念や歴史から考えていくと自然なことだ。

AppleはHuman Interface Guidelineにて、1つのアプリケーションはメインとなる1つの機能を提供するべきであると公言している。これはiPhoneの純正アプリ群を見れば実感できるはずだ。それぞれのアプリはコアとなる機能を1つだけ抱えており、他の機能はあくまでコア機能をサポートする存在ではないだろうか。

このような経緯もあり、スマートフォンのゲームアプリがミニゲーム的な機能しか提供しないのも理解できなくはない。

以上のことから、今回制作の要件とされている「友人や家族と遊べるミニゲームアプリ」という要件は、「友人や家族と遊べるゲームアプリ」と言い換えても遜色ないのではないだろうか。

そして、今回制作するアプリは前述の2分類にも属さないであろうことが確認できた。

リサーチ

スマートフォンのゲームアプリは、テレビゲームと比べると機能的にミニマムなものが多い。最低限の機能でユーザーが楽しめるように、又は課金してくれるように作られている。

ここであえて、「楽しい」と「課金する」という2つの要素を並べたのは、注意すべき点でもあるからだ。

課金したくなるようなデザインとは、言わば闇のデザインだ。表面上では「楽しい」ように見せかけているが、闇のデザイナーは抑圧のデザインを細やかに仕込んでくる。ユーザーが「この制限がなければ」・「このアイテムがあれば」もっと面白いのに、と感じるような。

僕はこの闇のデザインはゲームデザインにとって全く不要な要素であると考える。

しかし実際問題、スマートフォンアプリ的なシンプルなスタイルのゲームではマネタイズが難しいのも確かである。

この問題に対する解としては、「買い切りのゲームにする」というのが最もゲーム的に悪影響の少ない解であると思うが、そこまでのクオリティのゲームを作るには一介のアプリ制作者には時間が足りない。ゲームというのは非常に時間と労力とお金のかかるものであると、ゲーム業界に身を置いたことのない僕でも想像は容易である。

ダークサイドに堕ちないために、ここまで考える必要は無いかもしれないが、スマートフォンゲームアプリのマネタイズ事情についても考えてみよう。

任天堂ゲームアプリのマネタイズの変遷

任天堂のリリースするスマートフォンゲームアプリはそれぞれが違う課金体制をとっており、ゲームアプリのマネタイズにどのようなものがあるのか知るには丁度よい。

ポケモンGO

ポケモンGOのマネタイズ手法は個人的にかなり優れていると思う。

まず、ゲーム内の課金要素は時間さえかければ無料で手に入れることのできるものだけで、課金しなくても充分に楽しむことができる。課金することによって時間的な効率が良くなるものだ。

しかし、それ以上にポケモンGOが優れているのは、ゲーム内課金におけるBtoCの収益モデルだけではなく、ポケストップと呼ばれるアイテムの補充ポイントシステムによるBtoBの収益モデルも持っていることである。

それに加え、現在では手に入れることのできるポケモンの数も大きく増えたことや、トレーナー同士のバトルも行えるようになったことで、収集欲や競争欲的な欲求が刺激されるようになり、リリース当時よりもBtoCの課金に至っても盛り上がりを見せている。

スーパーマリオラン

スーパーマリオランは序盤のコースは無料でプレイでき、それ以降のコースをプレイするには課金しなければいけないという、半買い切り型の課金形態だ。

これも、悪くない形であると僕は思うのだが、序盤コースを無料にしたことにより、「そもそもゲームとしてそこまで面白くない」という評価をユーザーが下してしまった。

スーパーマリオブラザーズは老若男女に人気のゲームであるし、スマートフォン以外のハードでプレイしたことのあるユーザーも多いのであろう。その操作感に遠く及ばなかったのが収益源として伸び悩んだ大きな要因であると考えられる。

どうぶつの森 ポケットキャンプ

どうぶつの森 ポケットキャンプの課金要素は、ポケモンGOの課金要素と少し似ている。

課金対象は主にリーフチケットというアイテムで、これはプレイを効率よく進めるのに便利なアイテムであるが、時間さえかければ無くても充分にプレイすることは出来る。

しかし、ポケモンGOと比べBtoBの収益モデルは無いため、まずまずといった所であろうか。

マリオカート ツアー

つい先月リリースされたばかりのマリオカート ツアー。

ここまで、スマートフォンゲームアプリの収益モデルとしては広く知られている「ガチャ」を一切利用してこなかった任天堂であるが、マリオカート ツアーで初めてガチャの要素を導入してきた。

これに対し批判的なユーザーも多いが、この要素によってゲームバランスが崩れるということはなく、その他のスマートフォンゲームアプリと比較すると非常に良心的な設計のガチャである。

前述のスーパーマリオランとは違い、やはりスマートフォン以外のハードでの操作感には劣るが、コアなユーザーエクスペリエンスは引き継がれている印象である。

リリースしてまだ僅かしか経っていないが、他ゲームアプリではあまり見かけないインタラクティブなゲーム性は定番のガチャ課金を促進させているようで、マリオカート ツアーは大きな収益を生み出し始めている。

さて、ここまで任天堂のゲームアプリである4つのタイトルを見てきたが、他にも「ファイヤーエムブレムヒーローズ」「ドラガリアロスト」という2つのタイトルもある。

この2つは他メーカーのソーシャルゲームと同じく、ガチャやスタミナ回復のための王道課金システムを採っており、例として挙げる必要がそこまでないので省いた。(このシステムはゲームの楽しさを著しく減衰させると考えているため)

つづいて、任天堂以外のゲームアプリはどのように収益をあげているのかチェックしていこう。

ハイパーカジュアルゲームの勃興

現在のゲームアプリ業界で大きな収益を得ているのは、ハイパーカジュアルゲームと呼ばれるジャンルのゲームだ。

個人的には、ゲーム自体のクオリティが高い買い切り型のゲームアプリのほうが好きではあるのだが、開発コストと収益の比率を考えると手を出す企業が少ないのも頷けるし、買い切り型の高クオリティゲームアプリはミニゲームという範疇を超えてくるため、今回はチェックしない。

さて、件のハイパーカジュアルゲームであるが、こういった名称があることは今回調べるまで知らず、「YouTubeの広告でやけに見る中毒性のありそうなゲーム」という印象だったわけだが、僕が今回のミニゲームアプリを作るというお題を見て最初に思いついたのは、このタイプのゲームだった。

というのも、ゲームアプリは大きく分けて3つのタイプに分類されると考えていて、1つ目は「ソーシャルゲーム」、2つ目は「コンソールレベルゲーム」、そして3つ目が「ハイパーカジュアルゲーム」だ。正式な呼称はともかく、何となくイメージは掴めるのではないだろうか。

この中で最も要件にフィットするのは3つ目のハイパーカジュアルゲームだと考えたのだ。

上記の記事内でハイパーカジュアルゲームとは以下のように説明されている。

ハイパーカジュアルゲームとはどんなものを指すかというと,「シンプルで中毒性のあるゲームプレイ」「ユーザーの年齢や性別,国籍などを問わず,誰もが遊べるデザインと操作性」などが挙げられる。すなわち,日本語しか読めない小学校低学年の子どもでも英語表記のままで遊べるくらいシンプルな操作で,ついつい何度もプレイしたくなるゲーム

この説明を読むと、偶然か必然か、「友人や家族と遊べるミニゲームアプリ」の要件にも高いレベルで応えていることが伺える。友人や家族が「自分」の好きなゲームを好むとは限らないし、家族であれば年齢も幅広いからだ。

そして、このハイパーカジュアルゲームという種類のゲームを調べていて思ったのは非常にサービス的であるということ。

小さく作って、データを取りながら改善し、ヒットしなければすぐに見切りをつける。というプロセスを繰り返す感覚はサービスデザインにおけるMVP(Minimum Viable Product)の考え方とほとんど同じだ。

そんなことからも、このジャンルが流行るのは必然とも感じられた。

要件定義

ここまでで定められた要件は、

  • 友人や家族と遊べるミニゲームアプリ
  • ハイパーカジュアルゲームをベースとする

の2点であるが、ゲームのコアとなる体験はまだ何も決まっていない。

サービスデザインであれば、市場選定の段階から始め、その市場のユーザーが抱えるペインは何かリサーチし、そのペインを解決するサービスをデザインする。というのが大まかな流れであるが、ゲームの場合はユーザーがあまりペインというものを抱えていないのではないかと考える。

初めてゲームデザインを行う僕の仮説ではあるが、我々はゲームデザインを行うとき、「解決」するのではなく、「創造」しなければならないのではなかろうか。

このアプローチは今までの僕のデザインの中では体験したことのないものである。デザインとは言っているが、どちらかと言うと初期段階は非常にアート的だ。

過去の作品を学び、新たな視点で作品を再定義する。もっとシンプルに言えば、「アイデア」。

つい先日買ったばかりでまだ少ししか読んでいないのだが、オライリー出版の「ゲームデザインバイブル」の序盤から触れられていたのは、「色んな分野を知ること」。そして「色んな人の意見を聞くこと」。これはゲームデザインと命名された行為を、あくまでデザインという領域に留めるためのジレンマなのではないかと僕は感じた。

ということで、今回は素直に僕自身のアイデアをもとにゲームの要件を決めてみようと思う。ゲームにおけるデザインは、要件やプロトタイプなどの初期状態が作られたあとが本番なのであろうと考えたためだ。

ただし、ゲーム業界未経験の僕の考え方が100%正しいとは思えないので鵜呑みにはされぬよう。

ゲームの体験を司るアイデア

とはいえ僕はデザイナーなので、課題解決ではない創造的なアイデアを決定するにしても、その根拠となる知見がないとどうしても不安を感じてしまう……。リサーチの延長としてHyper Casual Gamesの大御所、Voodooのアプリを幾つか触ってみる。

触っていて強く感じたのが、「アプリの触り心地が良いこと」「何度も繰り返したくなること」「難易度が丁度よいこと」の3つ。

言語化してみれば、確かに、というものばかりなのだがこれを具現化するのは難しい。

ここで再度、我々が制作するのは「友人や家族と遊べる」ミニゲームアプリだということを思い出そう。

ハイパーカジュアルゲームは、一人で高得点を目指すか、オンラインで(擬似的に?)どこかの誰かと競い合うかの2パターンがほとんどであり、フレンドとプレイすることをコアな体験として打ち出しているタイプのものは僕が探した限りでは見当たらなかった。

フレンドと行うハイパーカジュアルゲームにはどのようなものが適しているのだろうか。

まずは、友人や家族などとプレイすることをコアな体験の1つとして打ち出しているゲームに共通している点を探していく。

  • マリオパーティ
  • マリオカート
  • Wii Sports
  • 桃太郎電鉄
  • スマッシュブラザーズ
  • ボンバーマン
  • ぷよぷよ

…etc

僕はゲームアプリには詳しくないのでコンシューマーゲームばかりだが、共通点を探るには問題ないだろう。そして、本来であれば複数人でブレインストーミングを行い共通点を探すのが良いと思うが、今回は僕一人で共通点を幾つか考える。

  • 場を共有する
    • 同じ場所でプレイする
    • オンライン上でプレイする
    • ワイワイと騒ぎながら
    • 真剣に集中しながら
    • 親に怒られながら
    • 順番を待ちながら
    • ギスギスしながら
  • 競いあう
    • 自分の能力を誇示する
    • 学びながら勝とうとする
    • 経験を活かす
    • 無思考で
    • わざと負ける
    • 不機嫌になる
    • 競争を楽しむ
  • 協力する
    • 一緒に目的を達成する
    • タスクを分担する
    • アイデアを出す
    • 言われるがままになる
    • ミスを責める
    • バラバラに行動する
    • トライアンドエラーを繰り返す
    • 個々の能力を活かす
  • 思考する
    • ルールを理解する
    • 有利に進める方法を見つける
    • 相手を不利にする方法を見つける
    • 相手の心の機微を伺う
    • 観察によって法則を見つける

などが挙げられる。これをヒントにゲームのアイデアを考えてみよう。

……と思ったのだが、来週の土日で終えようと思っていたCocoda!の今回のお題は今日の10:00までみたいだ。10月中だな、となぜか思い込んでいた。

これをこのまま無かったことにするのは勿体ないので、ヒッソリと公開しよう。

さて、僕がUIデザインを行うときはこのような感じで物事を考えています。

時間があったらお題とか関係なく制作を続けてみようと思います。